上映時間 98分
脚本:監督 金井純一
音楽:主題歌 おおはた雄一
出演 増田璃子/吉沢悠/藤井武美/広澤草/和泉ちぬ/円城寺あや/芳本美代子/小松政夫
和歌山市の商店街で美容室を営む直人。妻の京子は美容室の2階で書道教室をしていた。
教室に通う7歳のサキは問題児だったが、直人との間に子どもがいなかった京子は、サキを自分の娘のように可愛がっていた。
10年後、直人のもとに一本の電話が入る。それは10年前の「ある事件」以来、会っていなかったサキからの電話だった。彼女は視力を完全に失い、直人も妻・京子を5年前に亡くしていた。サキの思いを知った直人はある決意をする。
東京の上映館が1館だけ。しかも、1日一回、レイトショーのみ、という事で
なかなか観に行けず、その日が東京最終日だという事も気づかずやっと行けた金曜日。
嬉しいことに、チケット購入の時に「混んでますか?」と何気なく聞いたら
「はい。今日が最終日なので主演・監督のトークショー付きなので混んでます」との答え。
思いがけず、初日に諦めたナマ悠くんに会えました
サキが失明するに至った「ある事件」は、結構早い段階で明かされるが、
それは口にするのも憚られる所業の為、簡単にしか説明されない。
それは....サキにとっても、事件を知る大人にとっても重く、忍びないもの。
しかし――、
盲学校の寮にいたサキは、おずおずと一歩を踏み出す。
まだ目が見えていた子供のころ、最後の幸せな思い出をくれた直人の妻・京子に会いたくて・・・
か細い、消え入るような小さなサキの声が、
直人の優しい声に、次第に勇気を出して変化の兆しをみせ、
信頼できる大人という存在から、、甘えられる大人へと変わり…―ただ、心がほぐれて、会いたくて。。。
直人にしても、子供を持てなかった亡き妻が、わが子のように可愛がっていた子が、
不孝な事件で全盲の少女になって現れて。。。
それは全く恋とか愛とかの意識をしない、自然にお互いの時間を補う、必要な存在となっていったのだけど...
大きな事件も、謎もない。
ただ、不幸にもハンディキャップを背負って生きることになった少女と、
子供を持てないまま、妻を亡くし、孤独で単調な日々を送る男性のめぐり逢いがもたらす
心の変化を、静かに丁寧に綴った作品でした。
漫画原作にあるような、奇抜な設定もなく、
あるのは現実に、誰もが少なからず経験、体験してきたような、
思春期の胸の痛むような、嫉妬。
オトナの羨望が人を孤独にしていく段階・・・それは本人たちだけが知らないウワサ。
果たしてこの小さな世界で、二人はどんな結論を出すのか…―
セリフでなく、出演者の佇まい、表情から、ココロを推し量るドラマ
切なく愛しい、ちいさな物語です。
押しつけや、盛り上げよう感もなく、だけど心の芯に触れてくる・・映画らしい作品
館内の彼方此方で、すすり上げる声が聞こえていました。。。
それが静まったころ、プロデューサー、監督に続いて吉沢悠くん、妻役の広澤草さん、その母親の和泉ちぬさんが登壇。
先ず金井監督の若さにびっくり。悠君よりも若い方で、ご挨拶も初々しかったです
吉沢悠くんは、一度芸能界から去っていった過去に触れて、復帰した時の、
現場に最初に入った時の嬉しさと、作品が完成して公開された時が幸せだと、あの素敵な声で仰って
この後サイン会もあるという事でしたが、トークショーが終わってロビーに行くともう
既に数人が並んでいて、、、帰りの時間が遅くなるため諦めました、、、
公開日数や、上映回数の少なさにとても不満ですが、
作品そのままの誠実なキャスト&スタッフにお会いでき、嬉しいサプライズでした