脚本 藤本有紀
演出 柴田岳志
制作統括 磯智明
音楽 吉松隆
語り 岡田将生
出演 松山ケンイチ/深田恭子/玉木宏/豊原功補/三上博史/山本耕史/田中麗奈/武井咲/森田剛/小日向文世/和久井映見/阿部サダヲ/國村隼/中村梅雀/井浦新/上川隆也
第17回 「平氏の棟梁」 13.9%
1153年、ついに清盛(松山ケンイチ)は平氏の棟りょうの座につく。父・忠盛(中井貴一)の仕事を引き継いでいく清盛だったが、忠盛が残した功績は計り知れなく棟りょうの器に不安を感じ始める。妻・時子(深田恭子)もまだ一門をまとめるにはおぼつかなく、不安な船出となる。そんな平氏一門を見かねた家成(佐藤二朗)は、棟りょうとなった清盛を朝廷にお披露目すべく、歌会を催し、清盛に歌を一首詠ませようと画策する。
今回は、清盛が平氏の棟梁となって、初船出となる際の、
夫婦の不手際、それをどのように乗り越えていったのかを、
出生に拘り骨肉の争いの収まらぬ朝廷の方々、一族が溝を深めるばかりの源氏親子を絡めつつ
描いていったところでした。
一門を集めた席で清盛は、父・忠盛の意思を継いで
「武士の世を目指す!これは棟梁である俺の、平氏一門の志と心得よ」と宣言。しかし彼も
棟梁としての仕事がどんなものであるのかさえ引継ぎをしておらず解らない。
時子もまた宴の膳の量を誤って、清盛に恥をかかせる結果となり、ならば、と乞われた
琵琶の演奏も「上達しないゆえ止めました」とあっさり断って清盛をイラつかせる。
そんな時に宗子の従兄の家成が、自宅で歌会を催すので清盛にも一首詠めという・・
頼みの信西にも断られ、いよいよ追い詰められている清盛に更に三男・清三郎が書を止めると
駄々をこねていると、コレも時子の躾が悪い所為だと怒鳴りつけ、更には
「明子ならば、もっと然とした棟梁の妻となっておったぞ!]と、言ってはならない一言が、
時子を深く傷つける…―。ヒ、ヒドイっ
涙を堪えて去った時子の優しい女心は、弟・時忠によって清盛に伝えられる。
清三郎に、父上(清盛)は先妻の子2人の方が可愛いのだと言ったのは私だと。そして、
「姉上が琵琶をやめたは、義兄上が言うたからですよ。耳に残る明子様の音色をかき消されとうないと。・・・姉上はそれを、今も守っておいでなのです」
露骨に言われないと、妻の優しき心遣いに気づかない清盛。でも、
話せば解る夫、でもあるんですよね〜。
そうして迎えた歌会当日。
清盛の歌を詠もうとして家成の子・藤原成親(吉沢悠)は詠めないと、そこで
清盛自ら読んでみせ、これは自分の顔みせの為の宴であるからと、自分にとっては
「妻や子、親兄弟、家人達、すなわち我が一門の者達を何より大事に思うておりまする」と
自分がこの歌会に頭がいっぱいで妻とケンカしたこと、しかし、わが妻は
「いつも明るく、まこと春の陽だまりの如き女子にございます」と言ってのける。
歌にもなっていない清盛の歌を馬鹿にしていた公卿たちや得子であったけれど、
「然し、われらにもっとも足りぬものを持っている」と鳥羽院は評するのでした。
帰宅した清盛を待っていたのは、時子の弾じる琵琶を聴く4人の子ら。
母の琵琶の音を聴いた事がない清三郎と清四郎の為と、傷つき打ちひしがれている時子を励ます意味で、重盛が望んだものでしたが、
父の姿をみると子供達が時子の楯となり父から守ろうとするのです。時子の愛情をしっかり受けて
イイコに育っていました。時子も目を潤ませたシーンで、
「俺にも聴かせよ。そなたの琵琶じゃ.....。心配するな。そなたの音色と明子の音色はまるで違う。.....何れも忘れはせぬ」清盛の言葉に涙する時子でした...。
ところでライバル義朝は朝廷ですれ違った清盛に常磐を、俺の心のより所だと紹介しますが、
8歳の息子・鬼武者と正室の由良さまを放置状態。しかも父・為義は家宝の太刀「友切」を義賢に与えたと知って、父に詰め寄りますが、
「お前は強うなり過ぎた。己が父の誇りを踏みにじって何の痛みも覚えぬ程にな! さような者に源氏を背負わせるわけにはいかぬ!」とついに決裂!
父の意を解さぬとはいえ、嫡男として頑張ってきた義朝を蔑ろにするあんまりな処遇でありました。
結局今回も泣かされちゃったわけですが、
主人公を堕としては持ち上げる手法に、なんだかなあ〜という感じもします。
例えば時子の膳の用意をしている時に池禅尼が来て、「まことこれで足りるのか?」という場面。
当然その後、「足りませぬか?」という会話があるのが自然。なのに、次の瞬間、時子と清盛は
恥をかくわけです。――ここは視聴者に想像させて、時子に「義母上さまのアドバイスで助かりました」と言わせた方が良かったと思うのです。
これでは池禅尼が何しに来たのか分からない。へたをすると(ついこの前まで仕切っていたわけですから)教えないとなるといかにも意地の悪い姑と言う事になります。
どうしても足りない嫁で、清盛の激高を引き出したい為であったとしても、池禅尼のあのセリフは要らなかった。
そもそも、もう清盛も30代の大人。いい加減カッコイイ主人公として描いて欲しい。
やんちゃで猪突猛進、純粋な清盛も私は好きですが、視聴者をぐいぐい引っ張っていくのは、
何時の場合も、強く凛とした、格好いいヒーローなのは間違いないところだと思います。