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Channel: to Heart
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家族を想うとき

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原題 SORRY WE MISSED YOU
制作国 イギリス/フランス/ベルギー
上映時間 100分
監督 ケン・ローチ 
脚本 ポール・ラヴァーティ
出演 クリス・ヒッチェン/デビー・ハニーウッド /リスリス・ストーン /ケイティ・プロクター/ロス・ブリュースター

舞台はイギリス北部の都市ニューカッスル。主人公はターナー家の父リッキー、母アビー、16歳の息子セブ、12歳の娘ライザ・ジェーンの4人。一家は自分の家を持つのが夢なのだが、10年前に起こった金融危機で取引銀行が破綻し、それまで払っていた住宅ローンが無に帰し、以後、借家住まいから抜け出せずにいる。
時代に振り回される家族の姿を描いたヒューマンドラマ。

『麦の穂をゆらす風』でも「ジミー、野を駆ける伝説」でも、
自由や真の豊かさを問いかけてきたケン・ローチ作品に胸をえぐられてきましたが、
『明日へのチケット』『天使の分け前』などは貧困層に焦点を当てながらも、
どこか優しい、頑張るヒトを温かく後押しするような眼差しを感じることができました。
が…
本作は違いました。

一度は引退宣言をした監督がどうしても撮りたかった、撮るべきとして復帰したのは何故か、本作品を観ればわかります。

経済のグローバル化、それによって引き起こされる経済格差、高齢化社会、それに伴う人材不足――
あれ?どこかの国と一緒じゃん、、、

「個人事業主」とは名ばかりで、何の保証もない理不尽なシステムを受け入れざるを得ない過酷な日々を送る父。
夫の契約金の為に車を失った妻はますます移動にかける時間が増え、家族と会話する時を失う。
家族の為に身を粉にして働く両親、、、が、子供たちのシアワセとかけ離れていく・・・・

私たちの生活は日々便利になり、、便利過ぎといってもいいくらいだ。
銀行に行かなくてもネットで買い物ができ、ということで、小さな商店は潰れていき
我が街の景観も一変。大手スーパー、大型モール、コンビニだらけとなった。

より快適な生活を求め、ヒトは働き、その一方で
巨大化したシステムにはじかれたり、縛られるひとがいる。

コレはイギリスの家族の物語ですが、現代の日本、アメリカ社会でも起きていること。
最後、ローチ監督の怒りを共有することでしょう。

「私たちがやらねばならないことはひとつ。耐えられないことがあれば、変えること。今こそ変化の時だ」
ケン・ローチ監督舞台挨拶の時の言葉です。

あ、そうそう!
サッカーネタ、出てきますよ(^_-)

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