脚本 藤本有紀
演出 柴田岳志
制作統括 磯智明
音楽 吉松隆
語り 岡田将生
出演 松山ケンイチ/深田恭子/藤木直人/窪田正孝/松田翔太/吉沢悠/神木隆之介/岡田将生/森田剛/細川茂樹/上川隆也
第39回 「兎丸無念」 %
大輪田の泊(神戸港)の改修をおこなう平清盛は、宋国の使者と後白河法皇の面会を成功させ、次は宋の高官を迎え、正式な交易を始めたいと考えていた。大願成就のために行った万灯会(まんとうえ)では、松明の明かりを眺めながら、泊の改修を一任している兎丸が民の信頼厚いことを実感。工事も順調に進んでいることに安堵していた。
しかし兎丸は、禿を使った時忠の手荒なやり口と、それを黙認し続ける清盛に不満を募らせており・・・
この回は、長年の夢の実現に向けて、不可欠だとする清盛の大輪田の泊(神戸港)の
工事にかける情熱から、
同じ志で何十年も共に歩んできた兎丸と袂を分かつ事になる顛末と、
清盛の側近の者たちの心情を描いたものでありました。。。
今回は遮那王と弁慶の出会いで始まりますが、ややくどい(笑)画は申し分なかったですが。
平氏の躍進を嫉む者を黙らせ、大輪田の泊の工事の完成を急ぎたかった清盛が、
時忠の率いる「禿」を黙認していた事が、そもそも兎丸は気に入らなかったのですよね。
時忠は没収した金品などは、孤児である禿たちに褒美として与えていたので、さほど罪悪感はなかったのでしょうが、
大人の領分で起きた争いに、年端もいかない子供を凶器に使ったことに
同じ境遇で少年期を過ごした兎丸はガマンが出来なかったのでしょう。
大願成就のために行った福原での万灯会に西行(藤木直人)は、帰りに京の時子を訪ね、
公卿化しちゃった富める平氏の日常に触れて、驚きを隠せず、
それを敏感に感じ取ったものの、時子はサラリと受け流すが、
西行は、(清盛が)生き急いでおられる―と心配をするにあたって、
「それでも平氏は一蓮托生・・。
如何なる修羅の道も、共に歩く覚悟にございます。」と、
時忠の所業も、憑かれたような清盛の執念も、全てを丸ごと受け止めている、
肝の据わった時子殿なのでした。
しかし、清盛の焦りも悪天候に阻まれた上、泊の改修が難航を極め、
それでも期日を守らせようと無理を言う清盛に、終に兎丸は爆発。
仕事を放り投げて京に戻り・・
平氏への不満を叫んでいたところを禿に襲撃されて最期を遂げる―。
長きに亘って清盛の夢を支えてくれた友を失い、悲しみにくれる清盛には
まだ盛国がいる!
「それでも進みまするか?この修羅の道を。殿のお心の中にだけある国に向かって、進み続ける覚悟が、おありにございまするか?
ならば盛国も共に。命を賭して殿に食らいつき、この修羅の道を、共に参りまする」
誰にも理解してもらえない孤独な清盛にあくまで寄り添う盛国の言葉に泣けました。
そして一門を挙げて兎丸の葬儀をあげると告げる清盛の姿を、
憧れの眼差しでみつめる禿たちの嬉しそうな表情に胸が痛みました......。
彼等は彼らなりに、純粋に清盛を喜ばせる為に仕事をしていたんだと感じさせる、清盛には皮肉な結果となったのですね。