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声をかくす人

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彼女の罪。それは、最期まで秘密を守ろうとしたこと――。
原題 THE CONSPIRATOR
製作年度 2011年
上映時間 122分
脚本 ジェームズ・ソロモン
監督 ロバート・レッドフォード
ジェームズ・マカヴォイ/ロビン・ライト/ケヴィン・クライン/エヴァン・レイチェル・ウッド/ダニー・ヒューストン/ジャスティン・ロング/アレクシス・ブレデル/トム・ウィルキンソン
南北戦争の終結間もない1865年。リンカーン大統領が南軍の残党によって暗殺される。主犯のジョン・ウィルクス・ブースは逃亡中に射殺され、さらに7人の男と1人の女が共犯として逮捕される。女の名前はメアリー・サラット。下宿屋を営みながら2人の子どもを育てる未亡人だった。元北軍大尉のフレデリック・エイキンは、元司法長官のジョンソン上院議員から彼女の弁護を頼まれる。犯人への憎しみを抱きながらも、渋々弁護を引き受けたフレデリックだったが、被告が民間人にもかかわらず、一般の法廷ではなく軍法会議にかけられることに違和感を覚える。そんな中、毅然と無罪を主張しながらも、それ以外のことは黙して語らないメアリーに戸惑うフレデリック。しかし、審理が進むにつれ彼女の無実を確信、弁護に力が入る。するとフレデリックへの風当たりも強くなり、いつしか四面楚歌の状況に追い込まれるが…。

雰囲気は好きなのに、なぜか苦手なテアトル銀座、行って来ました!
チケットカウンターで、来年5月の閉館のご案内があり、ちょっと淋しく、
今更ながら、無理をしてでももっと通えば良かったと反省…。
まあ、上映時間的にも厳しいのですが、今月は早速「ふがいない僕は〜」があるし、
行けたらいいなあ〜。まだ素敵な作品が待機してるし。

さて本作品。これはアメリカを2分する南北戦争の果てに起こったリンカーン暗殺の、
国民感情に名を借りた軍人の、汚点とも言うべき軍法会議形式の裁判にかけられた
一人の南部出身の女性と、
北軍の英雄で、弁護士志望だった若き大尉の、
裁きに公平を求めた戦いの物語。

「無実」だという1点以外語ろうとしない被告人メアリー・サラット。
人望もあり、前途有望だった北軍大尉のフレデリック・エイキンは、
彼女の罪状、すなわち南北戦争の象徴的大統領、リンカーン暗殺の一味というだけで嫌悪し、
その弁護を要請された時に断る。・・心情的にそれはそうだろう。
リンカーンの思想への支持の元、彼らは何十万という南軍兵士を葬り、多くの犠牲を払ったのだから―。

しかし、ここで彼を説き伏せる元司法長官のジョンソン上院議員の言葉にこそ
奴隷解放の信念と同じく、「法は平等で在らねばならない」という
私怨や報復を危惧するその後の軍法会議への壁の厚さを、北部出身のエイキンに託した思いだったのですね。
そして、審理はジョンソンの読み通りに展開していくのですが、
今ならツッコミどころ満載の奇怪な法廷劇が繰り広げられ、
最初の内こそメアリーの有罪を信じていたエイキンも、その手腕を発揮。
検察側証人の矛盾点を突き、証言の信憑性に迫るものの、
判事は全て北軍の将校。裁判長はスタントン陸軍長官の肝いり。

絶望的な状況で、物言わぬ被告人を救うべくエイキンが、最終的に取った行動とは?!

黒人の奴隷解放の父リンカーン暗殺の、南部出身の犯人と共犯者が、
実はどうやって裁かれていたのか?
平等を謳った戦争でありながら、その勝者、北軍の裁判に公平はなかった。という
真実よりも迅速な収束を狙った政治の厚い壁に立ち向かう、
若き元北軍大尉が、怖れず挑み、
救えなかった命の代わりに、ある言葉とともに手にしたものは…―

地味ながら、その緊迫感、不条理に沸き立つ怒りの静かな表現。
流石、ロバート・レッドフォード監督作ともなると、こんなにも豪華キャスト!

今までで一番好きなロビン・ライトでしたし、エヴァン・レイチェル・ウッドも
ダイアナの選択」の面影がありながらちょっと大人びてて良かった♪
ジェームズ・マカヴォイはこういう生真面目で情熱的な役が嵌ってます!

全編セピアっぽいざらついた古い本を紐解くような、そんな作品でした

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