ぶつかって、
ぶつかって、
人は強くなる。
製作年度 2012年
上映時間 134分
原作 川上健一
脚本:監督 錦織良成
音楽 長岡成貢
出演 伊藤歩/青柳翔/甲本雅裕/笹野高史/財前直見/中村嘉葎雄/長谷川初範
隠岐諸島に暮らす多美子は、夫・英明とその前妻の子で5歳になる娘・琴世と3人で仲むつまじい毎日を送っていた。
かつて、英明は前妻と駆け落ち同然に島を飛び出したため、島へ帰ってきてからも両親とは顔も合わさず、島の人々にもなかなか受け入れてもらえずにいた。そんな中、英明は島の人々が大切にしている古典相撲の練習に参加するようになる。彼のひたむきな姿は、少しずつ人々の心に変化をもたらしていく。やがて英明は正三役大関に選ばれ、ついに20年に一度の開催となる遷官相撲大会の日を迎えるが…。
最初のチェックの段階では見過ごしていたこの作品を、後日みつけて公開を楽しみにしていました。
隠岐諸島に伝わるという古典大相撲?
青柳翔ってナニモノ?(ファンの方ごめんなさい)でしたが、
先ずそのタイトルに惹かれ、私としては珍しく予告を観、鑑賞を決めていました♪
20年に一度の水若酢神社の遷宮を祝う古典相撲大会の日を迎えたその日から、
英明がこの日を迎えるまでを回顧する形で物語は始まりますが、
正直、その前の、オープニングの映像で、もう惹かれていました。
神々の降り立つ神秘的な、美しい日本の原風景。
空も、大地も、広がる海も、汚れなく碧い!
その中で、郷土を愛し、伝統と共に生きる人々―。
護るものの為に、強くなること。
英明が打ち込む、その伝統の古典相撲は、それを愛する人たちによって受け継がれるが、
相撲などよく解らない私にも、そもそも相撲が神事だという事を思い出させてくれる。
力を漲らせてぶつかる。
しかし、相手を尊重する、きまり。
1勝1敗。遺恨は残さない、きまり。
観客は激励の為に大量の塩を浴びせる。夜を徹して力士たちを歓声で後押しする。
そして迎える大一番―。
因習やしきたりの中で生きる事の難しさも感じましたが、
それ以上に、
自然の美しさを護るのは、こういう純粋に郷土を愛する人たちであり、
それを支え、見守る人たちなんだという事を強く感じました。
土俵の準備段階、練り歩きの再現、どこか愛嬌のある行司や呼出しに
心を掴まれて、、、
クライマックスにはきっと塩が、欲しくなる(笑)
この監督作品「RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語」もそうでしたが、
人の悪意で物語が動いたりしないんですよね。
ひたすら自分と向き合う男の姿、なんですね。
コチラはドキュメンタリーのように、淡々とその行事を映していきますが、
観終わった時に、「おくりびと」に通じるものがあると思いました。
とても美しい日本の映画です。