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種まく旅人〜みのりの茶〜

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製作年度 2011年
上映時間 121分
脚本 石川勝己 /三浦千秋
監督 塩屋俊
出演 陣内孝則/田中麗奈/吉沢悠/柄本明/石丸謙二郎/永島敏行/寺泉憲/徳井優/前田健/林美智子
リストラされたデザイナーのヒロインが、ひょんなことから祖父の茶畑で有機栽培に悪戦苦闘する姿を通して農業の難しさと素晴らしさを描く人間ドラマ。
農林水産省官房企画官という身分を隠しながら、日本各地の農家の本音を聞いて回る大宮金次郎(陣内孝則)。そんな彼に大分県臼杵市役所の農政局長として、省が開発した農薬を普及させよとの辞令が下る。着任早々、無農薬栽培に切り替えた旧知のお茶農家の主人・森川修造(柄本明)と農業話で盛り上がるが、その翌日に彼が心臓発作で入院。孫娘みのり(田中麗奈)が修造の代わりを努めようとするが、農業のノウハウなど何も知らずに途方にくれる。そこへ金次郎が現われ、さまざまな面で彼女をサポートしていく。

吉沢悠クンの出演作なので気になりながら見逃していた1本。
大分の緑の中で繰り広げられる、心にも身体にもイイ、優しい作品でした
チョット大人の為の童話のような、でも展開はそれこそ、大人の社会科見学─なのでした
今の季節にピッタリの、みどり香り立つような作品です

思い描いたポジションではなくとも、それなりにやってきていたと思っていたみのりが、
深く考える余裕もなく始めたお爺ちゃんの代わりに茶畑を守る暮らし。
きっかけは実は、偶然見た、友人が田舎でオーナーをやっている特集記事だった、、。
思い通りに生きて輝いてる友人が羨ましかった。そこにどんな現実があるかも知らず…。

しかし―いざ、
汗にまみれて1日が終わると待っている、田舎暮らしのオキテ(笑)も、
イヤイヤながら参加していくうちに、
都会での自分のこれまでの人間関係の希薄さを思い知る温かさに支えられ、
みのりの1日は、悩みなど入り込む余裕もなく、心地よいぐらいの疲労と充実感と、
ひとりではやっていけない農家の生活に、それを色んな方面からのサポートを受けながら、
夢中で実りの時を迎えることになる…―。

桃栗3年、お茶7年―

これは、家族の物語であり、一人の女性の成長の物語なのですが、
もちろん彼女を取り巻く人たちの葛藤もリアルに描かれていて、
「役人やけん」が口癖の市役所農政課の木村(吉沢悠)は、指導する農家の現実と
役所の無理解な上司との板ばさみで、思う仕事が出来ず葛藤の毎日。―

それでも逃げずにキチンと向き合えば、きっと誰かが見ていてくれる。
みのりには金ちゃんや木村がいて、木村には金ちゃんがいて、
金ちゃんには太田(永島敏行)という上司がいて、市長(寺泉憲)も彼を支える。
ちゃんと誰かの眼差しがある。優しい映画であります。

大分出身の塩屋俊監督が描きたかったのは、私たちの生命を支える食と、それを守る日本の農業の姿なのでしょう。
「仕事はキツいけれど、一日の終わりには充実感に包まれる」
それが十分に伝わってき、みのりの奮闘に、身をもって示す金ちゃんの諦めない姿。
命あるものと共に生きる事の厳しさと喜びも、作品を通して味わえるものでした。
「障害と思えるものでも、その存在が、次にやるべき仕事を教えてくれる」これは、
農業に限らず、ピンチに陥った時、前向きに進んでいくヒントとなる言葉でした。

最後に、塩屋俊監督のこの作品のインタビュー記事の一部を紹介したいです。
[お百姓という言葉は、百の仕事が同時に出来る人という意味なんです。
イコール"匠"であり、アーチスト。
そういう人は日本中にごろごろいるんです。そういう方々にもっとスポットを当てて、その方たちの技術や英知を次の世代が担っていけるようにする橋渡し役というか、そういう風に触発できるような映画を作っていきたいと思っています。
映画には、世の中を変えるほどの力はないです。でも、若干の刺激を与えることは出来ると思うんです。]

このGWに観た、恭子ちゃんの「農家の〜」の鑑賞後によく似て、
なんだかコチラまで美味しい空気を一杯吸って、元気になるような、
ああ、緑って凄いなあ〜と思え、自分も1本の小さな苗になったような気になります


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