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レイルウェイ 運命の旅路

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原題 The Railway Man
製作年度 2013年
製作国・地域 オーストラリア/イギリス
上映時間 116分
原作 エリック・ローマクス
監督 ジョナサン・テプリツキー
出演 コリン・ファース/ニコール・キッドマン/ジェレミー・アーヴァイン/ステラン・スカルスガルド/石田淡朗/真田広之

エリック・ローマクスの自叙伝を映画化したドラマ。
第2次世界大戦中に日本軍の捕虜となったエリック(コリン・ファース)は、タイとビルマ間を走る泰緬鉄道建設のための強制労働に就かされる。彼は過酷な戦争体験に苦しみながらも、妻パトリシア(ニコール・キッドマン)と一緒に穏やかな日々を送ろうとしていた。そんなある日、エリックは当時施設にいた日本人通訳の永瀬(真田広之)が生存していると知る。

人は、憎しみを
断ち切れる。
このキャッチコピーが、鑑賞後そんなに響いてこなかった。むしろ復讐の執念が残った―…。
ただ、戦争終結後何十年も痛ましい記憶に苦しんだ主人公が、
自分を拷問したかつての日本兵と対峙してから、自分を乗り越える様子に
一方側の主観で語られる物語の、「事実」がどうだったかよりも
PTSDを乗り越える為の終戦後の個人的対処に、驚きの方が個人的には強く残った物語。

ローマクスが作ったラジオの受信機が日本の憲兵にスパイ行為と誤解される辺りや、
そこからの流れは戦争時、当然の流れであったように思う。
その辺りは事実であったと思う。やるかやられるかの「戦争」なのだ。
しかし、
こういう(恐らく事実の)過去の記憶に混ぜられる現在の人物たちの演出に、やはり
意図的な制作側の底にある憎悪というか、悪意を感じてしまう。

特にフィンレイの顛末と、
直後に再会するローマクスと永瀬の下り......


この舞台となったシンガポール陥落後の泰麺鉄道に駆り出された20万人のうち、
戦争捕虜となった英国軍とオーストラリア軍は4万人以上。
なのでオーストラリアとイギリスのスタッフで制作されたのだろうが
実際にはそれ以上に多くのアジア人の捕虜が過酷な労働の犠牲になっている。

ローマクス個人の視点で描かれ、
ローマクスが(上から)赦しを与えるという描写に、
戦争捕虜の残酷な実態があったとしても、その心理描写が一方的であり、
作品全体に反日感情が満ちていると感じたのは私だけだろうか?
そもそも世界のいろんな国を植民地化してきたイギリスが!
と、この語り口(赦しを与える)にもの凄く違和感を覚えた。

日本兵の日本語が聞き取れないほどの違和感がここでも。なんちゃって日本人が登用。
なので、長瀬役の2人には心底安堵するとともに、
この役を意義をもって演じた真田さんと石田さんにはそういう意味でも感謝したい。
特に、セリフでその心情を封じられている流れでの真田さんの演技はやはり素晴らしい。
まるで日本軍の罪を一身に負っているというか、、、。

しかしそれでも、
「英国史上最悪の災難」と位置づけられるこの戦争の失敗が、今なお多くのイギリス人に根深く残っていると感じさせて
戦争による軍人としての傷を抱えて生きる長瀬を、一方的に「赦して」終わるこの編集が
日本人の知る美談としては終わらせない、執念のようなものを感じさせるといったら言い過ぎか。

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