サイレント・プア――「声なき貧困」、あるいは「見えない貧しさ」。
現代における貧困は単なる経済的貧しさを意味しない、地域における孤独や弧立こそ、
新しい今の時代の貧しさなのだという、取材を通じた現実を基に、
真の豊かさとは何かを問うドラマ。
ドラマ10 『サイレント・プア』毎週火曜 午後10時00分〜10時48分
作者 相良敦子
演出 伊勢田雅也/清水拓哉/長谷知記
音楽 佐橋俊彦
主題歌 Hold Your Hand/Perfume
出演 深田恭子/北村有起哉/桜庭ななみ/北村総一朗/長内美那子/市毛良枝/米倉斉加年
【第7回】心が届かない
事故で高次脳機能障害を負った夫を自宅で介護したいという妻・みき(前田亜季)。夫婦で開いた一口餃子店を守りたいという強い思いを知った涼(深田恭子)は、みきの援助に乗り出す。だがみきは、夫・啓(成河)から何の反応も得られないことに心をすり減らしていく。ついに店と自宅での介護を諦めようとしたみきに、涼は最後に夫婦ふたりの餃子を焼いてみることを提案する。啓の残したノートを見て、みきは餃子を焼くことを決意するが――
高次脳機能障害といって、直ぐに思い浮かぶのは、私の場合、映画「ガチ☆ボーイ」です。
あの作品の主人公・五十嵐のプロレスとメモに埋め尽くされた、、めくるめく学生生活も、
大勢の仲間や家族によって支えられて、もちろん本人のポジティブ思考もあって
懸命に生きる姿が感動的でした。が、
今回、涼がその夫婦の困難な状況を知り得たのは、担当ナースからのSOSでした。―
リハビリ施設が充実している病院に転院を勧められるが、そこに移るとなると
2人の生活の基盤の店を閉め、引っ越しをしなければならない。でも、
みきにはこの場に居て頑張りたい理由があった…―
事故の時、脳が酸欠状態だったことから、記憶・言語・歩行困難にある夫を、一人で支えるみき。
でも、まだ当事者が若いため介護保険適応外。
ここで社会福祉事業の、今、みき夫妻が受ける事のできる補助を
涼はてきぱきと提案し、手すりや段差部分にスロープをつけるなど決めていきます。
身寄りが近くに一人もいない夫婦に、こうして身近に味方が出来ました。。
そんな時、まなかちゃんが担当する独居老人が亡くなっているのを、
いつものように訪問した際、彼女がみつけてしまいます…。
毎日玄関に残していったメモが、この日はそのまま挟まれていた。。。
彼女は悔やみ、打ちのめされ、、涼に言うのです。
「私はこれまで、一度でも、誰かを援けてこれたのでしょうか......?」
そう問いかけるまなかちゃんに決壊.....
今回もまた、制度の問題だけではない難しさが描かれ、
対象者の心に添った支援の壁が、社協のみんなの心に影をおとします。が、
まなかちゃんの心が届いてなかったとは思えない。自分を心配するまなかの存在を喜んでいた。
でも、、その方はきっと選んだのです。孤独とともに一人でひっそり旅立つことを。。。
恐らく、涼を始め他のメンバーも何度か乗り越えてきていたのでしょう。
どんな仕事にも、一生懸命やれば達成感を得られる瞬間もあれば、報われない想いに打ちひしがれる事もある。
でも、相手の心に添ってしか行動を起こさない。その縛りが、一歩踏み込むことを許されない現場―。
そのジレンマを抱えるCSWの仕事の難しさをよく現していたと思います。
みき夫妻にも、事故の前は、夫婦にとっての一つの危機を迎えていたのが明かされますが、
開放的なリハビリは、きっといい結果に結びついていく。そう感じられました。
これも、実話を元にしたエピソードだったと感じさせる、番組の終わりにCSWの説明がありましたね。
この二人のCSWとしての成長ぶりに、なんだか毎回心を洗われる思いです。