なぜ少年は、生きることができたのか。
命を奪うのか、
希望を与えるのか
原題 LIFE OF PI
製作年度 2012年
上映時間 127分
原作 ヤン・マーテル『パイの物語』(竹書房刊)
脚本 デヴィッド・マギー 、ディーン・ジョーガリス
監督 アン・リー
音楽 マイケル・ダナ
出演 スラージ・シャルマ/イルファン・カーン/アディル・フセイン/タブー/レイフ・スポール/ジェラール・ドパルデュー
世界的な文学賞ブッカー賞に輝いたヤン・マーテルのベストセラー小説「パイの物語」を、『ブロークバック・マウンテン』などのアン・リー監督が映画化。
1976年、インドで動物園を経営するパイ(スラージ・シャルマ)の一家はカナダへ移住するため太平洋上を航行中に、嵐に襲われ船が難破してしまう。家族の中で唯一生き残ったパイが命からがら乗り込んだ小さな救命ボートには、シマウマ、ハイエナ、オランウータン、ベンガルトラが乗っていた。ほどなくシマウマたちが死んでいき、ボートにはパイとベンガルトラだけが残る。残り少ない非常食、肉親を失った絶望的な状況に加え、空腹のトラがパイの命を狙っていて……。
――という、大海原に、動物!予告で美しい映像にそそられたので、これは3Dで観てきましたが、
予想通り。3Dの迫力が生かされていた映像美に満足でした
ただ、予想に反してパイのサバイバル生活までの前置きが長くて、
しかも、そこに後半への重要な伏線があると予測できる流れで、
インド時代の一家の物語が延々と続くのは想定外ですが、ガマンのしどころです。
物語はパイ・パテルというインド人男性が、小説のネタを探していたカナダ人作家に、
幼い少年の日の一家の想い出やリチャード・パーカーと名付けられたベンガルトラとの出会い、
カナダに移住することになるまで、を話して聞かせる形式で進んでいき―
船中で一家に起きたこと、いよいよ嵐に遭遇し、ボートに乗り込んできた動物達との別れがあり、
そこからリチャード・パーカーとの、太平洋ふたりぼっち(?)の漂流生活が描かれます―。
全編3Dと言うわけではないけれど、序盤の色鮮やかで美しく
臨場感ある動物達のシーンで、すぐさま心を掴まれました
意外なことに漂流生活の舞台では、3D映像は少なかったですが、
取って代わるように今度は丹念で自然なCGの映像美。
というよりも、逆に美しすぎて不自然なまでに神秘的な映像美に息を呑みます。
その、余りに美しく、この世の物とは思えない映像が、
観終わった時に(そうだったのか・・・)となるわけですが……
パイ・パテルが作家に語り終える時、
もう一つの漂流物語が観る者に消えない疑惑を残します。
ともあれ、少年パイの美しくも過酷な漂流生活を、共に味わい、見守り、、
最後の 何故・・・ を考える時、、、心が震えます......
ベンガル・トラの“リチャード・パーカーの名前に関する元ネタ”が公式に紹介されています。=こちらオススメ